時には、敵対している武士同士が、茶室の中でお互いの腹を探り合いそして和合をする場でもあったという。
「どうぞ一服」、そこから生まれる信頼関係がありました。茶道には、心の美しさや人をもてなすことの本質があります。
何より、一期一会の精神もあります。現代でも、家庭の中で、あるいは職場においても
誰しもが美味しいお茶を真心こめていれることによって家族間や職場の仲間たちとのコミュニケーションが生まれるのではないか…
そう私は考えています。今一度、「急須」というコミュニケーションの道具について興味を持っていただきたいと思っています。

日本の食文化をもっと誇りに思ってください。例えば、フランス料理を召し上がる時に慣れないナイフ、フォークにコンプレックスを感じている方も多いのではないでしょうか?お店にもよりますが、日本人ですから堂々とお箸を用意してもらって不自由なくお料理を美味しくいただきたい、私はそう思っています。

日本古来の伝統文化が創り出してきた「急須」もしかり。本物の「急須」の素晴らしさを、改めて知っていただきたいと思い、常滑焼の逸品たちをご紹介しています。手に入れていただいた方には、本当のお茶の美味しさを実感していただける自信があります。ぜひ、お気に入りの急須を見つけてください。

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が認定されたのも、これらが評価された賜物でしょう。和食の伝統文化は教科書で教えてもらうことでもなく日常の団らんの中で、日常の生活の中で自然と受け継がれてきたものでした。そんな食文化を持つ、誇らしい日本なのに、大家族での団らんが消え、食生活はどんどん簡素化が進み、外国の食文化を取り入れて変化し続け、若者の和食離れも進行していっています。

茶こし網でお湯を通していれるお茶よりも、急須でじっくり蒸らしたお茶の美味しさ。急須の口から糸のように出て、糸のように切れる最後の一滴までを丁寧にお湯のみに注ぐ。そのお湯のみを掌(たなごころ)で包み込み、春のようなぬくもりを手のひらに感じながらいただく一服。日常のそんな幸せ、昔から培われてきた日本文化を忘れてほしくないのです。

「お茶」は脈々と日本人の血に受け継がれてきた伝統文化。
日常の暮らしの中でもお茶をコミュニケーションのツールとして生活の伴侶として
見直してみませんか?お気に入りの茶葉を、伴侶ともいえるお気に入りの急須で真心こめていれる。
なにごとにも代えがたい、心豊かな至福のときを持てることでしょう。